かつては遺言書を書く人は少なかったようですが、最近は遺言書を書こうとお考えになる方が増えているようです。

 

ご自身が亡くなった後に、残されたご家族の間で争いを起こしたくないというのも理由のひとつかもしれません。
相続については、各ご家庭に様々な事情がありますので、その対応にもご家庭ごとに色々あると思います。

 

例えば、あなたの父親が自身の財産について、こう残したいという思いがあり、あなたを含むご家族に伝えたとします。
その時ご家族全員が賛同してくれれば、父親も安心するでしょう。

でも、その後にもしあなたの父親が認知症になって、あなたのご兄弟が父親の思いと違う内容の遺言書を父親に書かせるなどということが起きた場合(遺言書が書ける程度の低い認知症が前提)、父親の思いは叶わなくなる恐れがあります。

 

そうならないためにも、あなたの父親が元気なうちに対策を講じておく必要があります。

 

しかし、あなたがある日突然遺言書を書いてほしいなどと父親に相談したら、どうなるでしょう。
遺言書を書く人が増えているとはいうものの、あなたの父親にとっては抵抗があるかもしれません。

 

ただ、父親が自宅をあなたに残したいと思ってくれているのなら、元気なうちにご家族皆さんの約束事として、そして有効な手段として何か残しておいた方がよろしいかと思います。

 

ここでその対策のひとつとして、家族信託があります。
信託とは委託者(財産の所有者)が一定の目的のために信託行為(信託契約など)によって信頼できる相手(受託者)に対して財産を移転し、その受託者は信託行為に従って、その移転を受けた財産(信託財産)の管理・処分等をすることです。

 

そして、かつては信託銀行などに預ける商事信託が「信託」と呼ばれていましたが、平成19年の法改正により家族間で信託ができるようになりました。
これが家族信託(民事信託)です。

 

たとえば、あなた(長男)の父親はあなたが父親と母親の面倒を看ることを前提に、自宅をあなたに相続させたいと思っているとします。
あなたとご兄弟もそのことに合意しているものの、もしかしたらご兄弟が、その後認知症になった父親に、父親の思いと違う遺言書を書かせるかもしれないという不安があるとします。

 

ここで組まれる信託は、父親が亡くなった後の自宅はあなたが引き継ぐという内容で、「遺言の代用信託」というものです。
ここで家族信託の例を挙げてみましょう。
信託の例)
委託者 : 父親
受託者 : あなた
受益者 : 父親
信託財産 : 自宅
信託の終了事由および残余財産の帰属権利者 : 父親の死亡により終了し、その後はあなたに帰属する

この信託により、父親が亡くなったときに自宅をあなたに相続させるという遺言と同じ効果が期待できるのです。
自宅の所有権は長男であるあなたに移っていますので、ご兄弟に父親の思いと異なることをされる恐れはなくなります。

 

遺言書作成が難しい場合の手段として知っておいていただくとよろしいでしょう。

 

なお、信託は綿密な打ち合わせによりベストな仕組みを作り上げることで、その効果を発揮できます。あなたの想いを行政書士にすべて伝えてください。その想いを行政書士はしっかりと受け止めます。